遺言、相続に関する正確な情報提供をいたします。

Q&A 相 続

  

Q7‐1 遺産分割 ~貸し主が亡くなると貸し主が増える!?~

 私は友人から200万円を借りていたのですが、先日その友人が亡くなりました。友人には、相続人として前妻との間の子供2人と、現在の奥さんがいるのですが、奥さんから200万円の返済を求められました。私は、奥さんに借金を返せばいいのでしょうか。

A7‐1

 貸金債権のような金銭債権は、債権者の死亡により、相続分にしたがって当然に分割されます。本件の場合、200万円の貸金債権を、奥さんが2分の1、子供2人がそれぞれ4分の1の割合で相続することになりますので、あなたは、奥さんに100万円、子供2人にそれぞれ50万円を返済しなければなりません。
                       (弁護士 宮崎 正直 ・ 弁護士 北澤 慎之介)

Q7‐2 遺産分割 ~相続人間の話し合いで決められること、決められないこと~

 死んだ父には財産と負債が同程度残っていました。相続人である私と兄とで、兄が債務も含めて全て引き継ぐという遺産分割協議をしました。手続きはこれで十分ですか。

A7‐2

 負債も、資産と同様、相続財産の1つですが、負債に関しては、遺産分割協議を経るまでもなく、相続人各人が法定相続分に従って相続することになっています。
 法定相続分とは異なる内容の遺産分割協議が成立したとしても、相続人の相互の間では有効ですが、これを債権者に主張することはできません。
 相続人間で勝手に負債の負担の割合を決めることができるとなると、例えば、返済能力のない相続人に負債を全て集中させることによって、債権者が、回収不能になるといった弊害が生じるからです。ですので、財産と負債は全て兄が引き継ぐというのであれば、相続放棄の手続を行うべきです。
                      (弁護士 森越 壮史郎 ・ 弁護士 北澤 慎之介)

Q7‐3 遺産分割 ~被相続人の借金は相続放棄をしないとあなたのものです~

 父が亡くなりました。相続人は、私と兄の2人です。父には、財産の他に多額の借金が残っていたのですが、遺産分割協議により、兄が借金を含めて全ての遺産を受け継ぐことになりました。この遺産分割協議によって、私は、父の借金を返済する必要はなくなったのでしょうか

A7‐3

 金銭債務は、債務者の死亡により、相続分にしたがって当然に分割されるため,遺産分割の対象になりません。したがって、本件のような場合、遺産分割協議とは関係なく、相続分にしたがって債務を引き継ぐことになりますので、債権者から返済を求められた場合には、相続分について返済する必要があります。このような場合、相続放棄をすることをお勧めします。
                      (弁護士 宮崎 正直 ・ 弁護士 北澤 慎之介)

Q7‐4 遺産分割 ~放っておいた昔の相続、話し合いはまだできる!?~

 父が死亡してから既に11年が経過しています。父の家には、父の死亡時からずっと兄が居住していますが、兄との仲が悪くなり、きっちりと遺産分割をしたいと考えるようになりました。時効にかかっているのではないかと心配です。

A7‐4

 遺産分割請求権自体は、消滅時効にはかかりませんので、何年経っていようとも遺産分割を求めることはできます。
 但し、最高裁昭和47年9月8日判決は、「共同相続人の一人が、単独に相続したものと信じて疑わず、相続開始とともに相続財産を現実に占有し、その管理、使用を専行してその収益を独占し、公租公課も自己の名でその負担において納付してきており、これについて他の相続人がなんら関心をもたず、異議も述べなかった等の事情のもとにおいては、前記相続人はその相続のときから相続財産につき単独所有者としての自主占有を取得したものというべきである」と判示していますので、20年経過すると、お兄さんが自宅不動産を時効取得する可能性があります。
 そうなれば、自宅不動産は遺産ではなく、お兄さん個人のものとなってしまいますので、遺産分割を求めることはできなくなってしまいます。
 そうでなくても、自分の代できちんとしておかないと、子供や孫の代にまでトラブルが及ぶことになりますので、今のうちにきちんと解決しておくべきです。
                     (弁護士 森越 壮史郎 ・ 弁護士 北澤 慎之介)

Q7‐5 遺産分割 ~故人の預金を払い戻せない!~

 父が亡くなって私と弟だけが相続人なのですが、父には、銀行預金1000万円があることがわかりました。私は私の相続分として500万円の支払いを銀行に請求しましたが、相続人全員の合意がないと支払えないと言われます。弟とは仲が悪く、全く話し合いができない状態です。一体どうしたらよいでしょうか。

A7‐5

 通常は、財産を弟さんとどのような割合で分けるのかについて、「遺産分割協議」という話し合いをしたうえで、銀行から取り寄せた書類に、署名と押印をする必要があります。
 銀行としても、そのようなしっかりとした手続をとらずに支払うと、他の相続人から勝手に支払ったなどと言われるなどトラブルに巻き込まれる心配があるので、定型の書類の提出を強く求めてきます。
 しかし、銀行に言われた通りの書類を揃えられるのであれば、それが一番ですが、この事案のように、弟さんと仲が悪くて話し合いにならない場合には、書類を揃えることもほぼ不可能といって良いでしょう。このまま時間だけが過ぎてしまうということにもなりかねません。
 実は、預金などの金銭債権の場合には、話し合いがまとまらなくても法律で決められた割合(法定相続分といいます)に従って、直ちに払戻を受けることが出来るという最高裁判所の判例があります。ですので、弁護士を通して内容証明を送付して交渉することによって、または、銀行に対して訴えを起こすことによって、あなたの場合であれば、1000万円の2分の1(子供が二人だけであり他に相続人がいない場合)である500万円の支払を受けることが出来ます。
 なお、他にも不動産などの財産がある場合であっても、先に預金のみを受け取ることもできます。
                     (弁護士 齋藤 健太郎 ・ 弁護士 北澤 慎之介)

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